| ホーム |
2011.11.12
第81夜~第90夜
第81夜
「軽い遊び」
少し前教室で暇を持て余したので、数人の友達といつもの遊びをすることにした。
携帯電話から非通知でランダムに番号を押してハンズフリーで電話し、かかったらその相手をからかって笑うという悪趣味なもの。
その日は使われていない番号ばかりで、みんなが飽き始めた頃、ヒロという奴がかけた。
番号がつながった。
相手は女だった。
「もしもし」
「もしも~し」
「もしかして、ヤス君?」
「ちげーよ、誰だよヤス君って、彼氏か?おい」
「ヤス君私を忘れたの?ずっと一緒だって言ったじゃない」
「だからヤス君じゃねーって」
「嘘。その低い声はヤス君だよ」
「だから…」
「その耳のほくろはヤス君だよ」
「……」
「そのお腹の傷はヤス君だよ」
「うっせ、切るぞ」
「やめて、切らないで、ヤス君」
「ふん、知らねーよ」
「まあいいや、すぐに会えるから」
「は?なんだこっちに来るとでもいうのかよ?」
「違うよ、ヒロ君がこっちに来るんだよ」
「え?」
「ひひひひひひひ」
そこで電話は切れた。
確かに彼の耳にほくろはあったが、お腹の傷はどうだかしらない。
あれがただからかわれただけなのかはヒロ君と会えない今となってはもうわからない。
「軽い遊び」
少し前教室で暇を持て余したので、数人の友達といつもの遊びをすることにした。
携帯電話から非通知でランダムに番号を押してハンズフリーで電話し、かかったらその相手をからかって笑うという悪趣味なもの。
その日は使われていない番号ばかりで、みんなが飽き始めた頃、ヒロという奴がかけた。
番号がつながった。
相手は女だった。
「もしもし」
「もしも~し」
「もしかして、ヤス君?」
「ちげーよ、誰だよヤス君って、彼氏か?おい」
「ヤス君私を忘れたの?ずっと一緒だって言ったじゃない」
「だからヤス君じゃねーって」
「嘘。その低い声はヤス君だよ」
「だから…」
「その耳のほくろはヤス君だよ」
「……」
「そのお腹の傷はヤス君だよ」
「うっせ、切るぞ」
「やめて、切らないで、ヤス君」
「ふん、知らねーよ」
「まあいいや、すぐに会えるから」
「は?なんだこっちに来るとでもいうのかよ?」
「違うよ、ヒロ君がこっちに来るんだよ」
「え?」
「ひひひひひひひ」
そこで電話は切れた。
確かに彼の耳にほくろはあったが、お腹の傷はどうだかしらない。
あれがただからかわれただけなのかはヒロ君と会えない今となってはもうわからない。
| ホーム |