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2011.11.12 第1夜~第10夜
第1夜
「赤い部屋」


ある地方の女子大生が東京の大学に進学が決まり、東京に一人暮らしする事になりました。

とあるマンションで生活を始めているうちに、ある日部屋に小さな穴があいているのに気づきました。
その穴は隣の部屋に続いていて、何だろうと覗き込みました。

すると、穴の向こうは真っ赤でした。
隣の部屋は赤い壁紙なのかな、と思いつつ次の日も、次の日も
その女子大生は小さな穴をのぞいていました。


いつ見ても赤かったので、隣の部屋が気になった女子大生は
マンションの大家さんに聞いてみることにしました。
「私の隣の部屋にはどういう人が住んでいるんですか?」
すると大家さんは答えました。



「あなたの隣の部屋には病気で目が赤い人が住んでいますよ」
第2夜
「ホームレス」


ニューヨークの地下鉄を私はよく利用する。

毎朝通勤の度に地下鉄構内で何やらぶつぶつ言ってる一人のホームレスの男がいた。
気になって、男の近くの壁に寄り掛かり内容を盗み聞きしてみた。

目の前をおばさんが通る。すると男は
「豚」
と呟いた。
私は思った。なんだただの悪口か、動物に例えているだけか…。
次に普通のビジネスマンが通る。すると男は
「人」
あぁ、まさに普遍的人間って感じの人だな…。

別の日、暇潰しにまた盗み聞きしてみる。
男の目の前をやつれた男が通る。すると男は
「牛」
と呟いた。
牛?どちらかと言うと痩せた鳥だが…?
次に典型的な肥満の男が通る、すると男は
「野菜」
と呟いた。
野菜?豚の間違いだろ?


私は家に帰り考えた。
もしや、次に生まれ変わる生き物、すなわち転生を言い当てるのか!?
その後、何度もホームレスを観察しているうちに疑問も確信に変わった。

ある日
思い切ってホームレスに疑問をぶつけ、能力を身につける方法を教えてくれと懇願した。
ホームレスは淀んだ目で私を見つめた後、私の頭に手をかざした。
次の日からホームレスはいなくなった。

仙人だったのだろうか?はたまた神か?
私は能力を身につけた。

それは期待するものとは違っていた。


ただ単に、その人が直前に食べたものだったのだ。
私はあまりのくだらなさに笑ってしまった。


【解説】もう一度、読み直してください。
ホームレスの前を通りすがった人の中で一人だけ、おかしなものを直前に食べている。


第3夜
「同窓会」


ある日、クラス会があり懐かしいクラスメイト30名の再開を喜んだ。
その帰り、近くに小学校を見つけると、昔よくやっていた鬼ごっこをしようという話になった。
俺が鬼になり、全員を見つけるのに時間はかからなかった。
みんな明るいところにばっかり隠れるんだからな。見つけやすかったよ。
ところが、数を数えると29名。一人足りないことに気づき、時間も深夜1時を回っていたこともあって、みんなで探すことにした。
すると、すぐに見つけることができた。
そこで解散しようとすると、もっと一緒に遊ぼうぜと友人達が言った。
しかし、時間も時間だしということで半ば強制的に解散することにした。

そのとき、変にみんなを怖がらせる必要は無いと思い黙っていたが、俺だけそのことに気づいていた。

翌日、あの小学校で他殺死体が見つかったというニュースが流れた。
俺はやっぱりなと思った。

最後の一人の顔に見覚えが無かったから。


第4夜
「井戸」


あるところに気性の激しい男がいた。

ある日、泣き声がしゃくに障ったので妹を殺してしまった。
焦った男は、誰にも見つからなうよう、死体を家の裏手の井戸に捨てた。

次の日見に行くと驚くべきことに死体は消えていた…
気味の悪いこともあるものだと思いつつ、殺した妹の遺体を気にする毎日が続いた。
しかし、井戸から忽然と消えた妹の死体はどこからも発見されることはなかった…
そうしている内に男も死体の行き場所を忘れていった。

5年後、些細なけんかで友達を殺してしまった。
男は再び、死体を井戸に捨てた
次の日見に行くと、例のごとく、死体は消えていた。

10年後、酔った勢いで孕ませてしまった女を殺してしまった。
死体はいつものごとく井戸に捨てた。
次の日見に行くと死体は消えていた。

15年後、嫌な上司を殺した。
死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた。

20年後、介護が必要になった母が邪魔なので殺した。
死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていなかった。
次の日も、次の日もその次の日も死体はそのままだった。


男は全てを悟った…


【解説】なぜ、他の人とは異なり、母親だけの死体が消えなかったのか。
実は母親が…


第5夜
「ストーカー」


今日もまた上司に怒鳴られた。
OL仲間の間でもかなり評判が悪いハゲだ。

「私のストーカーの犯人はあのハゲだったりして…」

そんなことを考えつつ帰宅した。
家といっても、たった二部屋しかないボロアパート。
リビング+キッチンと寝室だけ。
窓もリビングにしかない。安いから良いけど。

玄関の鍵を開けて部屋にはいると、びっくりした。

リビングにあったタンスが荒らされていた。

そういや、朝食を食べに出た時に鍵をかけ忘れて、そのまま出勤したんだ……

くそっ!

窓は全部鍵が掛かってるから、玄関から入られたんだろう。
あー気持ち悪い。むかつく。死んで欲しいと思う。


もう今日は疲れた。晩ご飯はいいや。
警察には明日届けを出そう…

私は玄関の鍵が閉まってるのを確認し、寝室に向かった。



【解説】「鍵」
…彼女はこの後、どうなってしまうのでしょうか…


第6夜
「虐待」


「お姉ちゃん、お母さんが怖いよ」
「大丈夫、私が守ってあげる」
私はそう言ってアザだらけの妹を抱きしめた。
私たち姉妹は母に虐待を受けていた。
父が死んで以来、母は精神的に病んでしまい、自分が誰なのかすら理解できていないようだった。

そんなある日、学校から帰ると廊下に何かを引きずったような赤黒い跡。
と、ほんの一瞬、何かが視界の隅をよぎる。
赤い液体の滴る袋を引きずりながら、廊下の角を曲がっていく女。
あの青い花柄のワンピースは…母だ。間違いない。
袋の中身は…いやそんなはずはない。
赤黒い跡を追い掛けてみるとタンスの前で途切れていた。
母の姿は見えない。
意を決してタンスを開くとそこには袋があった。
…恐る恐る袋を開けて愕然とした。
袋には夥しい数のぬいぐるみが詰まっているだけだった。

「そうなんです。私には妹なんていなかったんだ。そうなんですね?先生」
「はい、そうです。だが、あなたはまだ気づいていないことがある」

私は混乱し、うつむいて青い花柄のワンピースのすそをぎゅっと握った。




【解説】自分自身が「母」だった


第7夜
「遭難者の遺言」


とある冬山で遭難した登山者が死体で見つかった時のこと。
捜索隊に加わっていた人から、こんな話を聞いたという。

遭難者はメモ帳に、死ぬ寸前まで日記をつけていたらしい。
日記の最後の方は飢えと寒さのためか、字が乱れていて読めたものではなかった。
しかし日記の最後に書かれた二行の文章だけは、はっきりと読むことができた。


おとうさん おかあさん もうかえれません ごめんなさい
たのまれたので かきました


まるで子供が書いたような下手な字で、平仮名だけが使われていた。
字は強い筆圧で書かれており、遭難者の書いた字体とは明らかに違っていた。
遺族にメモ帳を渡す時には、最後の一行は破りとったということだ。



【解説】
大人が書いていた日記にも関わらず、最後に日記を書いていた「子供」とは何者か…?
遭難者は死ぬ間際、誰を見ていたのか…?


第8夜
「呪われたトイレ」


新潟の某大手メーカーの工場の従業員家族慰安会の営業に行った時、 楽屋にあてがわれた応接室からトイレに行こうとした。
応接室を出ると、廊下に係りの人が待機していて

「どうしましたか?」
「ちょっとトイレに行きたいんですけど」
「それではご案内します」
「え?トイレあそこでしょ?あそこにWCって書いてあるじゃない」
「いえ、向こうに新しいトイレがありますので」
「いいですよあそこで。小便だし」
「それでは一緒について行きます」

Eさんが一人でトイレに入った瞬間、嫌な感じを覚えた。
うっすらホコリが積もり、普段使われている様子ではなかった。
4つある便器の一番手前で用を足していて、ふと見ると一番奥の便器で小便をしている男がいた。
足音も何もしなっかたのにと不審に思いながら手を洗い、鏡を見ると誰もいない。
「エッ?」と思って振り返ると男がまだ用を足している。
また鏡を見てみると、今度は男がはっきり映っていた。

「何かいるッ」
気持ち悪くなったEさんは外に飛び出して、待っていた係員に

「今誰か入りましたか?」
「いえ誰も入ってませんが…」
「おかしいな…ちょっと中見てみてよ」
「誰もいませんよ」
「いや、絶対いたから。鏡見てみてよ、映るかもしれないから」
「…Eさん、このトイレ鏡ありませんよ…」


第9夜
「あの時…」


ある女性がマンションに帰ると、入り口のあたりで
一人の男性とすれ違った。

なんとなく気になる相手であったが、
そのときはさほど深く考えずに通り過ぎてしまった。


しばらくして、その女性は自分の住んでいるマンションで
殺人事件がおきたとテレビで報じられているのを見た。

「自分の身近に起きるなんて物騒な世の中になったなぁ」
と恐ろしく感じていた。

やがて、女性のところにも一人の刑事がやってきた。
殺人事件の犯人らしき人物を見かけなかったか、
事情聴取をしているとのことであった。

女性はとっさに、以前エントランスですれ違った男の事を
思い出したが、記憶が定かではなく、無関係かもしれないと
思ったのであえてそのことは言わなかった。


それからまたしばらくして、テレビで殺人事件の犯人が捕まったと報じられた。

テレビに映った犯人の顔をみて、女性は大きなショックを受けた。
テレビに映っていた顔は…




あの時事情聴取にやってきた刑事の顔であった…


第10夜
「ある家族の会話」


「おい、まだかよ?」
俺は、女房の背中に向かって言った。
どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。

「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。
…ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」

確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がない。
今年もあとわずか。世間は慌しさに包まれていた。
俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。

「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」
「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」
俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。

「お待たせ。いいわよ。…あら?」
「ん、どうした?」
「あなた、ここ、ここ」
女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。

「あっ、忘れてた」
「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて」

「あなた…愛してるわ」
女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。

「何だよ、いきなり」
「いいじゃない、夫婦なんだから」
女房は下を向いたままだったが、照れているようだ。

「そうか…俺も愛してるよ」
こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだろう。
少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。

俺は、女房の手を握った。
「じゃ、行くか」
「ええ」



俺は、足下の台を蹴った。
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